酔歩のパラドクス
2004年11月27日コインを投げる。表が出たら前進。裏が出たら後進。こういう操作を何度も何度も繰り返す。すると、どんな位置にいるだろうか。
そのような実験をシミュレートし、グラフ化したりするのをランダム・ウォークと言う。日本語では酔っ払いの千鳥足に似ていることから酔歩と言う。
事態は二次元的に考えたりして複雑になっていくのだが、ここでは上のような単純な問題で考える。
つまり、前に行ったり、後ろに行ったり。
コイントスで裏表が出るのは無論“1/2”だ。だから、前方に偏ることも無く、後方も偏ることも無く、結果として最初にいた位置を原点として行ったり来たりする・・・そんな想像が容易に思い浮かぶ。
しかしよく考えてみよう。コイントスというのは毎回で独立している。だから、もし最初のトスで“+1”の地点に来たとして、再びトスを繰り返すとすると・・・最初の試行を無視すればこの“+1”が原点となってしまい、酔っ払いは“+1”の地点を行ったり来たりすることになる。
それどころか、偶然“+3”や“−5”なんかの地点に来たりしたらたちどころに、その地点を中心に行ったり来たりすることになる。これは矛盾ではないか。
つまり独立性が保障されている限り、行ったり来たりするという推論は有り得ない。しかし、独立性が保障されている限り、分布に偏りは見られない。これは互いに矛盾しているように見える。
あるいは、結局酔っ払いは好き勝手予測不可能なところに行ってしまう、ということなのかもしれない。
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