とある葛藤

2004年8月30日
 目の前を小さな黒い虫がピョンピョン飛び跳ねていた。蚊じゃないのなら、別に害はないので無視することにした。蚊はピョンピョン跳ねない。

 しかしピョンピョン跳ねるばかりで、その場を去ろうとしないものだから、鬱陶しく感じそいつを追い払おうと思った。そしてその虫を見やると・・・そいつは蚊だった。

 何故蚊がピョンピョン跳ねるのか。そもそも目の前に私と言う大きな獲物があるのに何故襲おうとしないのか。よく見るとそのヒトスジシマカの片方の翅は明らかに折れていた。更に蚊の特徴の一つである長い後足も折れていた。これではブーンと忌まわしい羽音を鳴らして飛ぶことはできない。

 その事実にもめげず、ひたすら飛んで、人の血を吸おうとしてもがき、飛び跳ねる一匹の蚊。蚊が血を吸うことの目的はどこぞの水溜りに卵を産むことだが、おそらく傷ついた体ではその超目的も適わず、死んでいくことだろう。そうとわかっても必死に飛び立とうと跳ねる蚊。

 屋内の蚊と見れば、叩き潰してしまうところだが、この哀れな姿に感動してしまうと殺してしまうことはできない。しかし、このまま無意味に生きているというのも哀れだ。それよりも、身動きの取れない蚊をほうっておいたら、知らぬ間に結局潰してしまいそうだ。

 ならばかわいそうだからいっそ殺してしまおうか。しかし、この哀れな生き物を殺してしまってもいいのか。

 一筋の葛藤がふと訪れた。さあどうする・・・?

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