献金

2004年5月23日
 人ごみの多いとある街中で。

 数人の子供がバラバラにあちらこちらを走り回っていた。

 彼らには両手に支えた胸元に小箱が備わっていた。

 いぶかしげに眺める通行人たちに子供たちは駆け寄り、そっと小箱を差し出す。

 子供は一枚のビラと引き換えに、通行人から小銭をせしめていた。

 ビラには、大きな文字で『愛』。裏面にはびっしりと細かい字で愛や平和について書かれている。

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 年端もいかない子供を募金に使うなんて、ずるいよね。それも小学校の児童会とか、そういう企画ならまだいいけど、どこぞの平和だの叫ぶ理解しかねる非営利団体の活動に、ボランティアという言葉の意味をまだ理解していない(であろう)子供を用いるなんて。

 そういうのに募金するには、募金する側にある程度の理解が必要だろう。二束三文とはいえ、出費するわけだから、その募金活動の趣旨に賛同して、小銭を渡すわけだ。

 しかし、子供ではどうだろう。チラシを渡されて、積極的に小箱を突き出される。この状況で、大抵の大人は募金せざるをえないだろう。相手が大人であれば、断ることも可能だが、相手が子供だと断りがたい。募金してあげなきゃかわいそうだな、という憐憫の情が芽生えてしまう。

 だからその募金の趣旨がどんなに賛同しがたいものであっても、強引に賛同しなくてはいけない。これは募金活動としてあまりにアンフェアではないか。

 その子供たちの周りに、それを暖かく監視している大人を見つけて、ふと思った。

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