地元医学部の友人に紹介されたので読んでみることに。物理化学的な視点から神経を流れる“電流”を丁寧に解説してある。こういうのを読むと、生物を専門とするにしても、物理とか化学とか、別の分野の知識を持つ必要があることを実感する。

 この本の特徴は解説がボトムアップ的なところ。金属の導線を電子が流れる一般的な電流とは違い、神経では細胞という有機的な導線におけるイオンの電位差の変化が電流をもたらす。この似て非なる電流を、歴史的な発見の推移に即して説明してある。

 興奮の伝導の仕組みを教科書的にあっさり説明してしまえばいいところを、この本では敢えて「カエルの下肢に電極を繋いで筋肉の収縮を観察する」みたいな原始的な実験から始まって、どうして今のような神経の電流の知識が獲得されたかをくどいぐらい積み上げて説明してある。

 こういうボトムアップ的な本は、研究の地道さとか苦労っていうのがにじみ出ているので色んな意味で勉強になる。トップダウン的に研究が進むのはそれは天才とかせめて閃きっていう類のものだよなぁ。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

日記内を検索