素数ゼミの謎

2005年11月2日
 本屋をぶらついてたら、思わず見つけて衝動買いしてしまった。何だか数学好きの血が騒ぎ、昆虫マニアの心をくすぐるようなタイトルだったので。

 まあ、素数と名を冠していますが、全然難解な本ではありません。むしろ生物学の進化論の超超入門書みたいな内容で、小〜中学生向けに書かれたんじゃないかって思えるぐらい絵本チックで読みやすい。面白いぞ、と兄弟に貸してみたら、数学の本は嫌だと断られた。タイトルで損してるかなぁ・・・?

 内容はタイトルの通り、昨年アメリカの方で大発生したと騒がれた17年ゼミについて。なるほど、素数ゼミです。

 昆虫って生き物は本当におかしな生き物で、思うに人間は確かに地球を支配するけれども、それはマクロ視点の話で、ミクロの世界では昆虫という節足動物が支配しているのではないか。どんなに人間が頑張っても、撲滅できない台所の黒い怪物がいる。

 そして昆虫の生態ってのは概して謎に包まれているもので、夏になると儚げな青春を遂げんために歌うセミもまたその一つ。太陽の光を浴びる期間は短いけれども、地中で過ごした期間は意外に長いもので、この17年ゼミというのは名の通り17年も土の中で過ごすのだ。

 日本にいないのが残念だけれど、考えてみれば不思議なものだ。17年という期間は長すぎる。そしてその数値も素数という奇妙な数字だ。この数値は偶然ではない。なぜなら13年ゼミというセミも存在する。

 この本はそんな諸々の不思議を、進化の観点から鮮やかに明かしている。
1.なぜこんなに長年かけて成虫になるのか?
2.なぜこんなにいっぺんに同じ場所で大発生するのか?
3.なぜ13年と17年なのか?
 謎解きをここに書くわけにはいかないので本を読んでもらうとして、これらの謎を見事な筋道で解決している。特に素数周期の理由が、小学生でも考えられるような話なのには驚いた。

 生物なんてのは、中身は単純なんだ。それを閃くのが難しい。そういう生物学の醍醐味を教えてくれるような本でした。科学読み物として一押し。この感動は本川達雄先生の本を読んだとき以来かな。

 それから、セミのイラストも可愛いよ。

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