狼王ロボ
2005年5月15日
シートン動物記と言えば、“名犬ビンゴ”や“灰色熊の一生”などなど、小学生の頃読んだ記憶がある良書であり、猟師でありナチュラリストであり画家であり作家であるシートンの名著。
そのシートンの生涯を谷口ジローさんがコミック化したもの。原案はシートン動物記の訳者である今泉吉晴氏。第一章は狼王ロボ。ご存知の方も多いに違いないが、家畜を襲い、毒餌や罠も通用しない人狼とも称されて恐れられている狼のロボを、シートンが追い詰めていく話である。
結局はシートンはそのことに自然の壮大さを教えられて、その後悔からか筆を取ったわけだけれど、そいう葛藤が見事描かれている。しかも、狼の描写も鮮やか。シートンと対峙した場面、悲劇の後のロボの見境の無くなった場面、そしてロボのプライド・・・といった場面でのロボの表情が堪らなく動物らしく人間らしい。動物を描いたコミックは多くあるが、久々に感動した。
また、興味深いのは画家としてのシートンも描かれていること。シートンが描いた『眠れるオオカミ』『オオカミの勝利』に込められた願いというものが伝わってきた。『オオカミの勝利』は人骨を狼が貪っているというものなのだが、ヨーロッパ宗教思想は「魂のない野生動物の犠牲者として、魂を持つ人間を描くことは異端である」と跳ね除けたと言う。まさに動物に魂はあるのかないのか、というテーマも含んでいる。ロボの雄姿には明らかに魂があるようだ。
そのシートンの生涯を谷口ジローさんがコミック化したもの。原案はシートン動物記の訳者である今泉吉晴氏。第一章は狼王ロボ。ご存知の方も多いに違いないが、家畜を襲い、毒餌や罠も通用しない人狼とも称されて恐れられている狼のロボを、シートンが追い詰めていく話である。
結局はシートンはそのことに自然の壮大さを教えられて、その後悔からか筆を取ったわけだけれど、そいう葛藤が見事描かれている。しかも、狼の描写も鮮やか。シートンと対峙した場面、悲劇の後のロボの見境の無くなった場面、そしてロボのプライド・・・といった場面でのロボの表情が堪らなく動物らしく人間らしい。動物を描いたコミックは多くあるが、久々に感動した。
また、興味深いのは画家としてのシートンも描かれていること。シートンが描いた『眠れるオオカミ』『オオカミの勝利』に込められた願いというものが伝わってきた。『オオカミの勝利』は人骨を狼が貪っているというものなのだが、ヨーロッパ宗教思想は「魂のない野生動物の犠牲者として、魂を持つ人間を描くことは異端である」と跳ね除けたと言う。まさに動物に魂はあるのかないのか、というテーマも含んでいる。ロボの雄姿には明らかに魂があるようだ。
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