腫瘍
2005年3月30日 桜ももうしばらくで咲きそうな気配。先日までボサボサに羽が抜け落ちていた我が家のヒメちゃんも、一時は皮膚病かと疑ったほどみすぼらしかったのですが、いつの間にかフサフサになっていました。ウズラは意外にいろいろなものを食べるようで、豆腐をあげてみると大好物かのように一塊をペロリと片付けてしまう。暖かくなってきたためか、タマゴも生み始めるようになりました。そんな矢先。
朝、いつものようにヒメちゃんの寝床から暗くするためのきれを外して、窓を開けて太陽の下に出してあげました。相変わらず過度に神経質なもので、逃げ場所としての箱に逃げ隠れます。これはいつもの事。神経質なのは羽変わりのせいだと露とも疑っていなかったので、普通に過ごしていました。
するとどうしたものか。箱の中でヒメちゃんが喉を詰まらしたみたいにエゲッと何度もしゃくりあげている。何だかよくわからなかったけれど、とりあえず新鮮な水に交換してあげると飲み始めた。すぐに直るだろうと思って油断したのだが、相変わらずシャックリを続けている。しかも、どんどん酷くなってきて、右胸を引きつらしてもだえるほど。
もう一向の猶予もないということで、医者に連れて行く。身体検査をし、レントゲン検査をすると衝撃の事実が判明。『そ嚢』に腫瘍ができているとのこと。
聞き慣れない言葉ですが、『そ嚢』というものは鳥類特有のものです。普通の哺乳類ならば消化器系は『食道⇒胃』と食べ物を送るところ、鳥類の場合その中継として『食道⇒そ嚢⇒胃』と食べ物をためておく器官があるのです。鳥類というのは哺乳類以上に神経質な生物で、随時生存競争の危険にさらされているので、『そ嚢』という器官を作って食べ物を貯蔵し、食いだめしておかなければいけないのです。
ヒメちゃんを飼うにも、逃げ場所を作っておかなければならないのはそういう理由があること。鳥類というのは、『飛ぶ』という点で哺乳類と大きな違いがあるので、消化器系一つをとってもかなり違いがあり、例えば口には舌はありますが歯がなく、唾液も水分を含むという以外では消化酵素を持っていません。食道を通る経路上の『餌袋』とも称される『そ嚢』も消化にはあまり役立っておらず、専ら食いだめ専用の器官です。
歯も唾液もないので、丸呑みにされた食べ物を初めて消化するのは胃に入ってから。胃は前胃と後胃に分かれていて、前胃では胃液で食べ物を溶かします。子供に上げたりするために、吐き戻す際にはここで再び食道に戻し、『そ嚢』に蓄えるのだそうな。後胃は『砂嚢』とも呼ばれていて、食べ物を磨り潰します。ヒメちゃんは砂浴びようの砂やら挙句に自分の抜け落ちた羽やらを、食べ物でもないのによく食べていたのだけれど、多分この砂嚢のためだったのでしょう。
『そ嚢』や『砂嚢』は、特に穀類を食べる種子食鳥で発達しています。逆にカラスとかいった昆虫食鳥などでは退化しているようです。
後は小腸、大腸と食べ物を送るのだけれど、これも哺乳類と比べるとだいぶ簡略化されて短い。鳥は『飛ば』なければならないので、内臓のいたるところで軽量化されているのです。昔飼っていたモモちゃんが、輪ゴムを飲み込んだ事があるのですが、この輪ゴムは何と消化されずにお尻からズルズルと出てきました。これも腸が短いという点のためでしょう。
鳥は例によって生存競争の激しいために食い意地がはっているので、目の前にあるものを構わず食べてしまうのです。砂にせよ埃にせよ自分の羽にせよ輪ゴムにせよ。不完全な消化器系のために、出てくるのはよいのですが、やっぱり飼い主として気をつけなければいけないのです。
消化器系の最後の肛門に至るにも、膀胱はありません。徹底的に軽量化されているのです。
そんなわけで、身体が小さい上に短い腸管のヒメちゃんにとって、『そ嚢』はとても重要なものです。そんな『そ嚢』に腫瘍ができてしまったということは、食道から胃に食べ物が送れない。つまり、食料が摂取できないというのです。
鳥は神経質なため、病気を常に隠す生き物。今まで餌も食べているようだったのだけれど、実は食べれていなかったのかもしれない。豆腐を盛んに食べるようになったのは、要するに柔らかいものしか食べられなかったということ。
獣医さんの言うには、もう手遅れで、ヒメウズラのような小さい鳥では手術も難しい。後数日ほどは生きるとのことです。もともとペットショップの前に捨てられたという運命の捨て子だったので、年齢なども一切不明で我が家に来たヒメちゃんだったけれど、突然のことですね。腫瘍が大きいということは大体4、5歳は下らないのかもしれません。
幸いなのは、腫瘍をのぞけば元気だということ。だから体力もあるし、タマゴも産める。人間で言えば食道癌みたいなものなのでしょうが、理不尽な話です。
ヒメちゃんの余生があとどのくらいかはわからないけれど、見守っていこうじゃありませんか。鳥さんを飼っている方は、病気には常に気を配って上げって下さい。
ヒメちゃんはまだ生きています。
朝、いつものようにヒメちゃんの寝床から暗くするためのきれを外して、窓を開けて太陽の下に出してあげました。相変わらず過度に神経質なもので、逃げ場所としての箱に逃げ隠れます。これはいつもの事。神経質なのは羽変わりのせいだと露とも疑っていなかったので、普通に過ごしていました。
するとどうしたものか。箱の中でヒメちゃんが喉を詰まらしたみたいにエゲッと何度もしゃくりあげている。何だかよくわからなかったけれど、とりあえず新鮮な水に交換してあげると飲み始めた。すぐに直るだろうと思って油断したのだが、相変わらずシャックリを続けている。しかも、どんどん酷くなってきて、右胸を引きつらしてもだえるほど。
もう一向の猶予もないということで、医者に連れて行く。身体検査をし、レントゲン検査をすると衝撃の事実が判明。『そ嚢』に腫瘍ができているとのこと。
聞き慣れない言葉ですが、『そ嚢』というものは鳥類特有のものです。普通の哺乳類ならば消化器系は『食道⇒胃』と食べ物を送るところ、鳥類の場合その中継として『食道⇒そ嚢⇒胃』と食べ物をためておく器官があるのです。鳥類というのは哺乳類以上に神経質な生物で、随時生存競争の危険にさらされているので、『そ嚢』という器官を作って食べ物を貯蔵し、食いだめしておかなければいけないのです。
ヒメちゃんを飼うにも、逃げ場所を作っておかなければならないのはそういう理由があること。鳥類というのは、『飛ぶ』という点で哺乳類と大きな違いがあるので、消化器系一つをとってもかなり違いがあり、例えば口には舌はありますが歯がなく、唾液も水分を含むという以外では消化酵素を持っていません。食道を通る経路上の『餌袋』とも称される『そ嚢』も消化にはあまり役立っておらず、専ら食いだめ専用の器官です。
歯も唾液もないので、丸呑みにされた食べ物を初めて消化するのは胃に入ってから。胃は前胃と後胃に分かれていて、前胃では胃液で食べ物を溶かします。子供に上げたりするために、吐き戻す際にはここで再び食道に戻し、『そ嚢』に蓄えるのだそうな。後胃は『砂嚢』とも呼ばれていて、食べ物を磨り潰します。ヒメちゃんは砂浴びようの砂やら挙句に自分の抜け落ちた羽やらを、食べ物でもないのによく食べていたのだけれど、多分この砂嚢のためだったのでしょう。
『そ嚢』や『砂嚢』は、特に穀類を食べる種子食鳥で発達しています。逆にカラスとかいった昆虫食鳥などでは退化しているようです。
後は小腸、大腸と食べ物を送るのだけれど、これも哺乳類と比べるとだいぶ簡略化されて短い。鳥は『飛ば』なければならないので、内臓のいたるところで軽量化されているのです。昔飼っていたモモちゃんが、輪ゴムを飲み込んだ事があるのですが、この輪ゴムは何と消化されずにお尻からズルズルと出てきました。これも腸が短いという点のためでしょう。
鳥は例によって生存競争の激しいために食い意地がはっているので、目の前にあるものを構わず食べてしまうのです。砂にせよ埃にせよ自分の羽にせよ輪ゴムにせよ。不完全な消化器系のために、出てくるのはよいのですが、やっぱり飼い主として気をつけなければいけないのです。
消化器系の最後の肛門に至るにも、膀胱はありません。徹底的に軽量化されているのです。
そんなわけで、身体が小さい上に短い腸管のヒメちゃんにとって、『そ嚢』はとても重要なものです。そんな『そ嚢』に腫瘍ができてしまったということは、食道から胃に食べ物が送れない。つまり、食料が摂取できないというのです。
鳥は神経質なため、病気を常に隠す生き物。今まで餌も食べているようだったのだけれど、実は食べれていなかったのかもしれない。豆腐を盛んに食べるようになったのは、要するに柔らかいものしか食べられなかったということ。
獣医さんの言うには、もう手遅れで、ヒメウズラのような小さい鳥では手術も難しい。後数日ほどは生きるとのことです。もともとペットショップの前に捨てられたという運命の捨て子だったので、年齢なども一切不明で我が家に来たヒメちゃんだったけれど、突然のことですね。腫瘍が大きいということは大体4、5歳は下らないのかもしれません。
幸いなのは、腫瘍をのぞけば元気だということ。だから体力もあるし、タマゴも産める。人間で言えば食道癌みたいなものなのでしょうが、理不尽な話です。
ヒメちゃんの余生があとどのくらいかはわからないけれど、見守っていこうじゃありませんか。鳥さんを飼っている方は、病気には常に気を配って上げって下さい。
ヒメちゃんはまだ生きています。
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