ΠΛΑΝΗΤΕΣ

2005年1月27日
 NHKの宇宙アニメ。先日国連が発表してちょっと話題になったけれど、地球の周回軌道には人工衛星の残骸など、宇宙ゴミ、通称スペースデブリが散乱している。
(→「宇宙ごみ」の被害防げ 安全管理へ国際指針;
http://www.asahi.com/science/update/0123/001.html
スペースデブリは10センチ程度の小さいものでも、時速3万6000キロで周回しているため、他の人工衛星や、将来的に宇宙船にでもぶつかったらとてつもない衝撃になるのだ。それが現在地球の周りを1万個以上存在しているというから恐ろしい。

 そんな実情を直視して、近未来、スペースデブリを回収するデブリ屋が登場。宇宙時代のサラリーマン社会をテーマにしたのがこの『プラネテス』である。

 NHKだけあって、映像のクオリティがとてもレベルが高く、何も無い宇宙空間を周回する宇宙船の描写や、太陽に影を作る地球や月などかなり美しい。オープニングなんか宇宙ネタが詰めに詰め込まれていて知っている人でも知らない人でも、それだけで感動的かと。

 エンディングは、少年時代から九十九里浜沿いを、走って、自転車で、バイクで駆けていくハチマキの成長を辿り、その目指す先には発射されるスペースシャトルがあるという、何とも船乗りに憧れる少年心をくすぐる作りになっている。憧れますな。

 しかも、宇宙をテーマにしているのに、デブリ課を持つ会社を作り、つまり近代的なサラリーマン社会をコメディタッチに仕上げているものだから、全然インテリっぽさがなくて正直見ていて楽しい。主人公のハチマキやタナベ以外にも、サブキャラクターの描写がかなり巧くて、ストーリーアニメとしてはかなりの上出来ではないかと。

 最初の1クールは、そんな宇宙時代のサラリーマン社会を描いたコメディだったんだけど、実はそこにさり気なく伏線が貼るに貼られていて、途中から『木星を目指すハチマキの物語』、そして『宇宙時代の国際問題におけるテロ』にまで発展してしまうものだから驚き。長い時間をかけて、サブキャラクターを丁寧に描いているから、そういう展開にも十分に耐え切れる作品になってるんですね。

 最終回は勿論ハッピーエンド。ルナリアンのノノを持ってきて結局は純朴さで国際問題を片付けてしまったのは、誤魔化されたようで結構確信を付いているんじゃないかと思います。うまいなぁ。宇宙から見たら、国境なんてどこにもないんですね。締めはハチマキとタナベが真っ暗な宇宙空間から地球を見下ろして、しりとり。こういう非日常に日常を求める物語って好きです。

 タナベはプラネテスでの重要なキーワードの一つだった『ケスラーシンドローム』からつなげて、『ケレス』とか『ケネディ宇宙センター』とか、『け』で始まる単語をハチマキに言わせるんだけど・・・うまい。ありきたりだけど、反則としかいいようがないよ(笑)

 原作を読んでみると、このアニメはかなりコメディ部分が肉付けされるんだとわかります。原作は原作で、訴えるものがあるんですが、アニメはアニメで、既に別のストーリー展開となっています。原作のエピソードのディープな部分が削られいて物足りないという声もあるみたいだけど、まあこれはこれでいいんじゃないかな。コメディとシリアスがうまく絡んでいて楽しいアニメでした。

 宇宙ファンでもそうでもなくても、かなりお勧め。視聴者を選ばないアニメかと。

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