人の造形美

2003年8月20日
 ⇒ http://www7.ocn.ne.jp/~karada/

 人体の不思議展へ行ってきました。いやぁ、かなり面白かったです。

 何がって、まず内容が悪趣味じゃない。生物標本と聞くと、まず真っ先に生々しいホルマリン漬けを思い出してしまうけど、今やそんなのは古い。『プラストミック』という技術らしいですが、外気にさらされても、人が触ってもどうってことない標本が展示されているんです。

 だから、液体に漬かっていないので怪しい感じをしていないし、水気、もとい生気が無く乾燥しているので生々しくない。

 だから、目の前に内臓が突きつけられても単なる“別物”でしかないので、気持ち悪くなかったです。

 内臓や神経や血管がベロンと出ていても、全然見るに耐えない光景って奴じゃないので、他の事に気が回せます。即ち観察。

 まず、学校とかで消化器官とかしょうも無い理論を覚えさせられましたが、百聞は一見にしかず。モノホンの器官が鮮明に目に焼き付けられたので、どんな構造をしているのか、どんな役割をしているのかがしっかり理解できました。小中学校ぐるみの社会見学として行くべきなのでは、と思いましたよ。(生々しくないので、幼心に傷が付くなんてことは有り得ないと断言できます)

 他にも、骨の断面や脊髄の付き方など人体の造形美って奴が見られました。また、胃潰瘍で襞が均されてしまった胃や、タバコでどす黒くなった肺など、不健康だと内臓がこんなにも劇的に変化してしまう様子も見られました。

 標本に触っていいということで、内臓や器官がどうなっているかが、触覚からでもわかります。脳も持てるのは驚きでした。個人的には目を触ってみることをお勧めします。本当に固いんで、レンズだ、ってことが改めて実感させられました。

 教養だけでなく哲学的な面でも有用でした。“別物”としか思えない標本だったんですが、実際は赤の他人じゃないんですよね。人間の構造は、人間であれば同じなんだから自らもそれだ、と。標本を触っていても手が穢れた、なんては思わなかったです。生と死の境界なんて、神格化する方がおかしいんですね。

 解剖の仕方にも驚くべき技術が。スライスしたときの皮膚の残し方とか、骨と筋肉の切り方など、不謹慎ですがあれは科学者の芸術です。人体と人工のコラボレーションとでも云いましょうか。芸術として鑑賞してみても面白いのでは。

 とにかく、悪趣味なんて言葉じゃ片付けられない展示会です。9月からは東京の方でやるそうなので、関東圏の方は是非見に行ってはどうですか?(名古屋でも月末までやってます)

 最後に献体された方に感謝したいと思います。合掌。

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